就活生・山田さん
消費財メーカーを目指す大学3年生。グループディスカッション(GD)はあまり得意でなく、早期選考、インターン選考で大苦戦。プロ講師のもとで特訓中!
就活プロ講師・デアイバさん
DEiBA Company 学生マーケティング部所属。
就活対策セミナーでグループディスカッション(GD)を教えるプロ講師。累計8万人が参加したGDイベント「デアイバ」の運営も担当する。
旅館の部屋の稼働率を向上させる施策を検討せよ。 という問題を解いていきます。
山田さんの解き方
1. 前提条件決定
まず、この問題における前提条件を設定する。
・誰の目線で考えるか: 旅館。
・立地や規模感など: 温泉が有名な観光地。チェーンなどではなく個人経営。
・滞在時間など:チェックイン15:00、チェックアウト10:00
2. 現状分析
①稼働率分析
まずは旅館の部屋の稼働率を分析する。
15:00-10:00 |
10:00-15:00 |
|
平日 |
中(家族連れ、シニア、インバウンド中心) |
稼働無し、掃除 |
週末 |
高(家族連れ、シニア、社会人) |
稼働無し、掃除 |
②顧客分析
週末は社会人、家族連れ、シニアが多くにぎわっている。
平日は休みをとった家族連れまたはシニアが多いと予想できる。
③競合分析
温泉地にあるので他にも旅館がある。平日日中は差別化が必要。
④自社分析
強み:グループ会社がないため自由に決められる
弱み:資金
3. 施策立案
現状分析①の分析から、稼働率が低い平日15:00~翌10:00と、現在稼働がない10:00-15:00にアプローチする。
(A)平日15:00~翌10:00
現状はシニア層、ファミリー層、インバウンドの利用が多い。比率は休みを取らなければならないファミリー層よりシニア層が多いと仮定し、シニア層に魅力を伝えられるアプローチを考える(客数を増やす)。温泉なので公衆浴場の文化が根付いていないインバウンドは少なめと仮定。
①予約数を増やす、または②1グループあたりの人数を増やす施策が考えられる。
・①②老人ホームなどと提携
・②大人数割引や特典の用意
・①シニア受けが良い送迎付きプランの強めの打ち出し
(B)平日10:00-15:00
①既存予約客の滞在時間を伸ばす、または②新しい使い方をすることが考えられる
・①レイトチェックアウトプラン、アーリーチェックインプランの押し出し
・②昼食を個室で食べられる会食プランを打ち出し。例えば、「お食い初め」「顔合わせ」プランなどなど。
・②シニア/ファミリー向け室内アクティビティを企画。大部屋での和菓子作りお教室など。若者向けには着物着付け教室(ワンコインで浴衣教室など)を実施し、写真映え
4.結論
温泉地に位置する個人経営旅館の部屋の稼働率を上げるための施策は以下のとおりである。まず、週末に比べて少ない平日の客足を増やすため、シニア層に向けて老人ホームなどとの提携や、送迎付きプランの打ち出しをする。続いて、チェックアウト~チェックインまでの10:00~15:00の稼働を新たに開始し、レイトチェックアウトプラン、アーリーチェックインプランを新たに作成。さらに、昼食を個室(客室)で食べられる会食プランを打ち出す。例えば、「お食い初め」「顔合わせ」プランなど。最後に、大部屋での室内アクティビティを企画することで稼働率を満遍なく100%に近づけることができる。
プロ講師の解説
1. 前提確認
きちんと誰目線かなど決められておりよくできていると思います。もう少しいうのであれば、旅館の形態として「泊まるだけで外湯メインの旅館」「温泉がついている旅館」などと決めておけば、プランの価格帯に関してより細かく施策立案の際に決定できたのではないかと思います。
2.現状分析
丁寧に分析ができています。
3.施策立案・検討
良く考えられています。強いていうならば、現状分析で出てきた「競合」の視点があればよりよくなったと思います。特に平日は競合と予約者の取り合いになることが予想されるので、そこでもう一歩差別化ができるようなオリジナルの施策を出せるとよかったでしょう。また、時間があれば施策評価(実効性、実行性での評価)もできるとよいでしょう。
【総評】
今回は課題解決型のお題でした。旅館に泊まらない方は少しイメージしづらいと思いますが、泊まらない、でも部屋の利用をさせるにはどうすればよいかということを考えることが必要です。活かせる要素として、趣深い和室や温泉街という立地があります。逆にビジネスホテルな度と違い、仕事のためのデイユースなどは見込めないでしょう。顧客の層をしっかりと見極めたうえでの施策立案が必要です。
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