グループディスカッション選考は必ず時間制限があります(長短の差はありますが)。
とにかく決められた時間内で議論を行なって結論を導かなければいけません。
円滑な議論にはもちろん時間管理が不可欠。
そんな時間管理をする役割はグループディスカッションではタイムキーパーと呼ばれます。
弊社の調査によると普段タイムキーパーに就くという人は12%とあまり就きたがる人がいないということが分かってます。
本記事ではそんなタイムキーパーという役割について徹底的に解説をしていこうと思います。
タイムキーパーは何をする役割?
一口に言えば、議論の時間を管理することになります。
具体的には以下の3通りの仕事に分かれます。
・時間計画を立てること
・時間計測&時間告知
・時間計画を修正すること
これだけ見ると「仕事少なくて、簡単じゃん」と思う人がいると思います。事実他の役割、ファシリテーターや書記に比べると明らかに仕事量は少ないです。
です学生のグループディスカッションを実際にやっているところを見ると、制限時間以内に終わらないということがよく起きています。そこまではなくとも明らかに時間管理が出来てなくて最後に何となくで結論を出しているグループもよく見かけます。
つまり比較的簡単なタイムキーパーという役割でも完璧にこなせている学生は少ないのです。
また弊社の調査でタイムキーパーをやっていて難しいことは何かという調査を行ったところ、32%で「一番は議論に割って入り、時間を伝えること」となっており、難しいと思ったことはないと答えた人は24%とやってみると以外に苦戦している人が多いようです。
では上で紹介したタイムキーパーの役割を1つずつ丁寧に解説をしていこうと思います。
タイムキーパーの時間計画の立て方
グループディスカッションで最初に役割を決めた後はどのプロセスにどれくらい時間を使うのかという時間計画を立てます。大体が役割分担でタイムキーパーになった人もしくはファシリテーターがこの時間計画を率先して決めることが多いです。
グルディスでは時間がなく時間決めにあまり時間を割けないため、もし自分がタイムキーパーになったら、すぐにプロセスごとの時間を決め提案を行いましょう。
その際のプロセスごとの時間比率は以下のを参考にしてください。
2:前提・目標の確認
4:議論(判断軸の設定、アイデア出し、原因究明など)
3:議論&まとめ(結論をまとまる)
1:予備
テーマによってはプロセスの工程が増えたり、別の部分に時間をかける必要があります。
例えば抽象型のテーマの場合は前提・目標の確認を丁寧に行うと後の議論がスムーズに行くなどがあるので、前提確認にもう少し時間を割いてもいいでしょう。
しかしこういう見極めはかなりグルディス経験が必要になるので、初心者の人は上の比率で大丈夫です。
時間配分のやり方をもっと詳しく知りたい人はこちら
→実は間違えているグループディスカッションの時間配分の正しい方法とは?
タイムキーパーの時間計測、時間告知のやり方
時間告知で「残り何分です」と言うだけであれば簡単だと思うかもしれませんが、我々の調査では難しいと感じている人が一番多く以外と難しいポイントになります。
その理由というのが、”選考のためメンバーがかなりの熱量で議論をしているから”ですね。
なのでここではまず何の時間告知をすればいいのか?そして割って入るコツを紹介します。
時間の告知場所
時間の告知場所は主に上の3点でプロセス毎の計画時間が終わる時には必ず告知を行いましょう。
そして終了5分前や終了1分前にも告知をしてあげるとメンバーも議論のペースを調節できます。
時間告知のコツ
時間告知のテクニックを3つ紹介します。
1つ目は「自分の意見→時間の告知で締める」です。
時間告知だけを目的に議論を断ち切ることはなかなか難しいです。なので議論の流れに合っている意見を言ってから、ついでのように時間告知をすることにより圧倒的に入りやすくなります。
これのメリットとして時間の告知をしやすくなるだけでなく、議論の流れが間違っている際に半強制的に自分の進めたい方向に進めることができることです。
2つ目は「手を上げる」です。
議論が盛り上がっていると全く入り込めないことがあります。ですが議論は結論に持っていかないといけないため、時間の告知は必須です。その際は手を挙げてしまうのも一つの手です。これを行った場合確実に自分に注目が集まります。そうすれば時間の告知を確実に行えます。メンバーによってはかなり勢いが強い人、話が長すぎる人などがいます。そのような時に使えるのがこちらのテクニックになります。
3つ目は「時間前に告知する」です。
議論には流れがあり勢いが強い場合もあれば、あまり勢いがない場合もあります。そして勢いが強くなってしまえば、なかなか割り込むことは難しいです。
なので例え時間になっていなくても、勢いが弱い時に時間の告知を行うことは非常に有効です。
その際は、「前提確認が後30秒で終わるので、あと1意見ぐらいで次のアイデア出しにいきましょう」のように少し言い方を変えるようにすると自然になります。
タイムキーパーの時間調整方法
タイムキーパーは議論が前倒ししている場合、押している場合は時間調整を行い、時間が余ることも足りなくなることもなく丁度終わることを目指しましょう。
では具体的に前倒ししている場合と、押している場合の2パターンの調整方法を紹介します。
計画よりも早く進んでいる場合
予定よりハイテンポで議論が進んでいる場合、基本的にはそのまま進行しましょう。
無理に計画に合わせる(例:議論を引き延ばす、ストップさせる)必要はありません。却ってリズムが狂ってしまう可能性もあります。
ただし、時間を余して終了するのは微妙です。時間を余して終了すると、「制限時間をめいっぱい使って最大限の議論ができたのか?」「残った時間は使いようがなかったのか、これ以上の結論は出せなかったのか」という評価にもなり得ます。
もし時間が余りそうなら、「議論のさらなる深掘り」を目指してください。時間つぶしはNGです。
・議論の見直し
必要に応じてそれまでの総括または見直し(修正)を提案するのも1つ。
「もう少しアイデアを出せないか?」「ここまでの議論を体系的にまとめて全員で確認しましょう」など発言して、議論に真剣に取り組む姿勢をアピールしましょう。
・それぞれの経験談(具体的なエピソード)を予定よりも多く発表し合う
経験談は一般論よりもはるかに説得力が強く、より合意を形成しやすくなります。
但し、独自性や具体性を出しやすいからこそ、なかなか端的にまとめきれないもの。時間の余裕があるなら、アイデア出しのうち特にここに時間を割くのもアリでしょう。
時間が押している場合
計画よりも遅れている場合はスピードアップしなければいけません。だからと言ってむやみに時間を削ると議論の質が下がってしまいます。
それまでの議論を踏まえて、「アイデア出しは十分だから、もうまとめに移ろう」「十分に意見が出なかったから、もう少し延長して、代わりにまとめの時間を削って調整しよう」など微調整をしてください。
「もう少しアイデアが出せないか?」「もうまとめに移ろう」など、議論を仕切るのは、本来はファシリテーターの役割といえます。
ですが、タイムキーパーがそのたぐいの発言を禁止されているわけではありません。何よりタイムキーパーは時間管理を任されています。こうした発言で議論の進行スピードを管理・調整するのも、大事な仕事の1つです。
グルディスでタイムキーパーはおすすめ
グループディスカッションでタイムキーパーは結構おすすめの役割になります。
その理由をいくつか紹介していきます。
仕事量が少ない割に役割につけるから
まず役割に自ら立候補して役割につくことは積極性を感じられ絶対にプラスポイントになります。
ですが役割を自ら立候補したのにも関わらず、全く役割をこなせない場合むしろマイナスポイントになってしまいます。
全体進行を統括するファシリテーターと比べると、時間管理に特化したタイムキーパーの仕事量は軽めです。
その仕事量の割に、議論になくてはならない存在であり、そのため人事からも注目されやすい存在です。
なので役割が少ないのにも関わらずプラスポイントを狙えるタイムキーパーはおすすめになります。
我々の調査でもタイムキーパーになる理由として、一番大きいのは44%で「仕事量が少ないのに役割につけるから」という理由でした。次に多いのが「何となく」という理由という結果でした。
役割の発言の後にフォローができるから
「前提を定義する時間がそろそろ終わりますが、前提は〇〇〇ということで良いですか?
「そろそろアイデア出しを終えてまとめに入る時間です。ここまで出たアイデアは、(1)、(2)、(3)・・・で大丈夫でしょうか?」
このように、時間のアナウンスと合わせて、そこまでの議論をまとめる発言ができます。
また、
「まだ時間の余裕がありますね。Aさん、ほかにアイデアはありますか?」
「結論は✕✕✕ということですね。Bさん、これで大丈夫そうですか?」
という形で、発言の少ないメンバーに話を振ることもでき、協調性を示すことが可能です。
タイムキーパーの注意点
以上のとおり、存在感がある割に仕事の難易度が高くなく、タイムキーパーはかなりおトクな役割。
グルディス初心者が立候補するなら特におすすめの役割です。
但し、単に時間を測って伝えるだけの仕事ではありません。かなり奥が深い役割でもありますので、注意が必要です。
単に時間を告知しているだけでは全く評価されない
先述のとおり、ただ「残り〇分です」「〇分経過しました」とアナウンスするだけでは、全く評価されません。
タイムキーパーの仕事は、経過時間(残り時間)を伝達するだけでなく、議論の時間管理です。より論理的で深い議論をするため、与えられた時間を上手に使うことが求められます。
議論の進行状況によっては一度決めた時間配分を見直すことも必要。
また、「もう少しアイデアが出せないか?」「そろそろまとめに移ろう」など、ファシリテーターのように進行を調整する技量も求められます。
時間を見過ごしてしまう可能性がある
積極的に議論に参加する(発言する)のはすばらしいことです。ところが、熱中しすぎて時間を見過ごしてしまう危険性も。
タイムキーパーが時間を見逃してしまっては元も子もありません。
タイムキーパーに就いた人は、議論に積極参加しつつ、頭の片隅では必ず時間を意識してください。
使用する時計は、普通の腕時計よりもストップウォッチがおすすめ。
腕時計を使う人は、アナログの時計よりもデジタル表示のものがおすすめです。アナログ時計は意外と分針・秒針が見づらく、数分単位で時間を見間違う危険性もあります。
タイムキーパーはスマホを使っていいの?
その選考で禁止されていなければ、時計でもスマホでも問題ありません。
但し、特段の明言がない場合、時間計測以外の用途で使うのはもちろんNGです。
スマホが落ちていることがある
スマホのストップウォッチやタイマー機能を使用する場合、画面オフの間に時計が止まったり、気づかない間にスマホ電源が落ちたりすることもあるので、要注意です。
グループディスカッションのタイムキーパーで高評価を得るコツ
タイムキーパーで高評価を得るコツを学生に聞いてみました。
その結果を見ると、タイムキーパーの仕事を上手く使って議論の修正や、協調性アピールのために話せてない人に話を振るコトが多いようですね。
他にもオンライングループディスカッションの際に時間を皆がみやすいようにカメラに時間を移すというテクニックや、時間をタイマーで設定してすぐに後何分か把握できるようにしているという意見もありました。
まとめ
タイムキーパーはグルディス選考において不可欠な存在。初心者でも立候補しやすいですが、単に時間を測ってアナウンスするだけの仕事ではない、ということを忘れずに!
全体の進行状況を把握しながら、予定よりずれていたらスピードを管理したり、時間配分を見直したり、ときにはファシリテーターの代わりを務めたり・・・など、仕事は案外多岐にわたります。
制限時間をめいっぱい活用して、最大限の議論ができるよう、タイムキーパーとしての腕を磨いてくださいね!
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